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脳梗塞で気をつけたい車椅子のチェックポイントについて

2018.06.22 脳梗塞/脳卒中
脳梗塞 車椅子 画像

家族でもできる、車いす座位の姿勢チェック方法とは?

日常において車椅子を使用しているものの、安楽に座っていることができず、お尻が前にずり落ちたり、左右へ傾いてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。


そんな時、理学療法士、作業療法士、あるいは福祉用具相談員などの専門家に相談することが先決ですが、それまでの期間にどうしたらよいかと頭を悩ませてしまいます。身近にいるご家族であれば尚更、良い姿勢、楽な姿勢を取らせてあげたいと強く思うはずです。


しかし、解決してあげたいけど、何を基準にして良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。


今回は簡単ではありますが、車いすに座った姿勢のチェックポイントをお伝え致します。


車いすへ座った状態で横からの姿勢を確認


車いすへ座った状態より、横から見た場合に、耳から下ろした線上に骨盤の位置が来ると、ある程度しっかり座れている証拠です。


例えばお尻がずり落ちたりすると骨盤の位置より耳から下ろした線より後ろになりますので、適切な姿勢とは言えません。このような前にずり落ちた姿勢はよりお尻のズレ力を発生させる[1]との報告もあるので、適宜姿勢を修正してあげることが大切となってきます。


まずは簡単にできる横向きの姿勢をチェックから始めて見ましょう。



強引に持ち上げていませんか?

強引な座り直しは体を痛める可能性も


普段、車いす上でずり落ちて座っている方を見かけた際に、車いすの後ろへ回り、腋窩に手を入れ、強引に引き上げて座り直しを行っていませんか?


実はその方法は、身体を痛める可能性があります。


よく見かけるのが車いすの後ろから回り、座っている当事者の腋窩に手を入れ、引っ張り上げ、お尻を奥へ座り直すという方法です。


脳卒中の後遺症により、運動麻痺が出現することで、麻痺側の手足が動かしにくくなることに加え、3?5割の方が麻痺によって筋力が落ち、肩の亜脱臼を患っていることが明らかになっています[2]。


よって、麻痺側の肩は不安定であり、そのような方に対し腋窩から強引に持ち上げることで、肩への外的ストレスを加えてしまう可能性があります。


座り直しは手前に引くようなイメージでやさしく


座り直しをする際には、上に力で引っ張ろうとせず、手前に引くようなイメージで愛護的に行うことが肩へのストレスを軽減できるかと思います。


もし肩の痛み等が強い方であれば、後ろから回り、腋窩ではなく、お尻を把持して、奥に座れるよう誘導すると良いかもしれません。


些細なことかもしれませんが、当事者が不快感なく、安楽な姿勢を取れることが重要ですので、少し気に留めて頂けたらと思います。



出典

1. Bush TR, Hubbard RP: Support force measures of midsized men in seated positions. J Biomech Eng, J Biomech Eng. 2007 Feb;129(1):58-65.

2. 猪飼哲夫,米本恭三,宮野左年 他:脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼の検討-経時的変化について.リハビリテーション医学 VOL.29 No.7 1992


岩澤 尚人
執筆者

岩澤 尚人

理学療法士
回復期リハビリ病院において10年以上脳卒中患者を中心に経験してきました。立つ、歩くことが困難な状態から、歩行の再獲得までの身体的、及び精神的サポートに加え、装具等の必要な道具のご提案ができることが強みです。より利用者が楽に体が動かせること、歩けることを追及していきます。

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