⾃宅でできる⼿のリハビリ│脳卒中後に役⽴つ装具・サポーター完全ガイド

※今回ご紹介させていただく「手・指の装具・サポーター」は、インターネットで購入が容易なものや、実際に当店で施術中に作成し提供しているものを載せさせていただいております。
背屈リストサポーターとは
背屈リストサポーターの適応
- 手首を上げる力が弱い方
- 痙縮で手首が掌側に曲がりやすい方
背屈リストサポーターの使用目的
❶持続的なストレッチを行う
痙縮が強いと、無意識のうちに手首が手のひら側に曲がってしまう(掌屈)ことがあります。
そのままの姿勢で長時間過ごすと、筋肉や関節が固くなり、手首が動かしにくくなってしまいます。手の機能を維持するためには、定期的にストレッチを行い、手首を良い状態に保つことが大切です。(参考文献1:手首・手の装具は痙縮がある片麻痺患者の上肢運動機能を改善するのに有益であると言われています)
そこでおすすめなのが、【背屈リストサポーター】です。
これを使うことで、手首をゆっくりと反らす方向(背屈)へ伸ばし、無理なく持続的にストレッチができます。親指の握り込みや固さが気になる方は【親指サポーター】、指の開きにくさが気になる方は【スパイダースプリント】を併用しましょう
親指サポーターを追加すると
スパイダースプリントを追加すると
②物品操作時に手首を保持する
手には、ものを効率よく掴んだり、摘んだりするのに適している肢位があり、これを「機能的肢位(きのうてきしい)」といいます。
上肢機能訓練においては、「機能的肢位」を保持したまま物品操作を繰り返し行うことが重要です。しかし、手関節の背屈が制限されていたり、痙縮によって掌屈位へと過度に引き込まれている場合、安定したポジションを維持することは困難となります。
そのようなケースでは、【背屈リストサポーター】を使用し、手関節を機能的肢位に保持することで、安定性を確保しながら物品操作練習を行うことが可能になります。これにより、適切な肢位での反復練習が促進され、運動学習や機能回復に効果的に働きかけることが期待されます。
親指が開きにくい方、伸びにくい方は【親指サポーター】、人差し指から小指まで開きにくい方は【スパイダースプリント】を併用しましょう。
購入はこちらから可能です。
背屈サポーター(外部リンク)
親指サポーター(外部リンク)
背屈リストサポーターの注意点
- 痙縮が強い場合は痛みを伴う可能性があるため、痛みのない範囲や、掌屈位から少しずつ背屈位にしていきましょう。
- ストレッチ目的で長時間着用する方はまずは1時間程度装着後一度はずし、赤みや傷ができていないか確認しましょう。その後徐々に着用時間を伸ばしていきましょう。(最大でも3時間に一度は外しましょう)
- 手関節の背屈角度が大きくなるほど指を伸ばす力が必要になります。まずはわずかに掌屈した状態や手関節がまっすぐな角度の状態から始め、徐々に背屈角度をつけていきましょう
スパイダースプリントとは
スパイダースプリントの適応
- 痙縮で指が曲がりやすい方
- 指を伸ばす力が弱い方
スパイダースプリントの使用目的
①持続的なストレッチを行う
使用目的は【背屈リストサポーター】使用目的①と同様です。手首のように痙縮が強いと、指も無意識のうちに曲がり、強く握り込んでしまうことがあります。そこでこの【スパイダースプリント】を使用します。
これを使うことで、指を伸ばし、無理なく持続的にストレッチができます。手首の曲がりが気になる方は【背屈リストサポーター】、親指の握り込みや固さが気になる方は【親指サポーター】を併用しましょう。
②ものをつかみやすく、また離しやすくする
スパイダースプリントを装着することで、痙縮によって指が伸ばしにくい方や、指を伸ばす力が低下している方でも、手指を大きく開くことが可能になります。その結果、物をつかみやすくなります。また、痙縮が強い場合は、物をつかんだ後に手を開いて離す動作も難しくなりますが、【スパイダースプリント】を使用することで、つかみ離しの動作がスムーズになり、反復練習が行いやすくなります。(参考文献2:重度の運動麻痺がある方を対象に装具を含めた多角的なリハビリを組み合わせることで上肢機能の改善を認めたことを報告しています。)
スパイダースプリントの注意点
- 痙縮が強い場合は痛みを伴う可能性があるため、痛みのない範囲で指を広げられるよう、ワイヤーの太さを決めます。作成・購入は専門職としっかり相談しながら進めていきましょう。(※ワイヤーの太さにより指を広げる力が変わります。)
- ストレッチ目的で長時間着用する方はまずは1時間程度装着後一度はずし、赤みや傷ができていないか確認しましょう。その後徐々に着用時間を伸ばしていきましょう。(最大でも3時間に一度は外しましょう)
- ワイヤーが太すぎると、指を曲げる力(ものを掴む力)が負けてしまい、掴みにくくなったり、手以外の部分に過剰に力が入ってしまう可能性があります。作成・購入は専門職としっかり相談しながら進めていきましょう。
まとめ
脳卒中後の痙縮による「⼿が開かない」「物がうまく掴めない」悩みには、背屈リストサポーターとスパイダースプリントの併⽤が有効です。
ポイントは
① 痙縮を抑えて持続的ストレッチをかけること
② 機能的肢位を保ったまま反復練習し、上肢の運動学習を促すこと
③ ⾚みや痛みを防ぐため着⽤時間・⾓度を段階的に調整すること
の3つです。正しく装着し、⾃宅トレーニングに取り⼊れることで、リハビリ施設外でも運動量を確保できます。
購入はこちらから可能です。
背屈サポーター(外部リンク)
親指サポーター(外部リンク)
出典
1)Fujiwara, T., et al. “Electrophysiological and Clinical Assessment of a Simple Wrist-Hand Splint for Patients with Chronic Spastic Hemiparesis Secondary to Stroke.” Electromyography and Clinical Neurophysiology, vol. 44, no. 7, 2004, pp. 423-429.
2)花田恵介,竹林崇,梅地篤史,天野暁,丸本浩平,道 免和久:脳卒中後の慢性期重度片麻痺に対する多角的 な上肢機能訓練を実施した一例,作業療法ジャーナル, 47(11),1300-1305,(2013)
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