Orthobot Ⓡ(オルソボット)で歩行改善|歩行補助ロボットの可能性と効果

近年、ロボットを活用した歩行訓練が注目を集めています。その中でも「オルソボット」は、膝の運動を中心にアシストする革新的な歩行学習支援ロボットとして開発されました。本記事では、オルソボットの目的や期待される効果について詳しくご紹介します。
脳卒中後遺症者や高齢者の歩行の特徴
特徴的な歩行パターン
①脳卒中後遺症者
片足支持時:膝が過剰に屈曲または伸展する。(図1、2)
②高齢者
変形性膝関節症:膝の硬直により歩行速度が低下し、歩幅が狭くなる。
筋力低下:膝や足首周囲の筋肉に不自然な力み(同時収縮)が増加し、歩行効率が低下。
歩行障害の影響
日常生活の質(QOL)の低下:外出や家事の制限。
心理的負担:歩行障害による自信喪失や不安感
Orthobot Ⓡ(オルソボット)とは?
Orthobot Ⓡ(オルソボット)の使用目的
- 遊脚期の膝運動を補助して歩行パターンを改善。
- 正しい歩行パターンを再学習させる治療装具としての役割。
Orthobot Ⓡ(オルソボット)の独自性
遊脚期の膝制御に特化
- 遊脚期の膝屈曲をタイミングよくアシストし、つま先を引きずらない自然な歩行を実現させます。
- つまずく心配が少なく、自然な足の振り出しを繰り返すことで運動学習を促します。
- 遊脚期最終相で膝の伸展を補助し、負担の少ない荷重を可能にします。
- 自然と足が伸びて着地することで、前への勢いを止めずにスムーズな重心移動が可能になります。
高精度な歩行アシストアルゴリズム
姿勢角センサーや加速度センサーで歩行周期を計測し、必要なタイミングで関節運動をアシストします。
Orthobot Ⓡ(オルソボット)の実際の効果
臨床試験結果下記の効果が認められています
- 歩行速度の向上
- 膝関節の運動範囲拡大
- 歩行時のエネルギー効率改善
Orthobot Ⓡ(オルソボット)の主な特徴と適応
主な特徴
- 膝の屈曲・伸展を適切にアシストし、自然でエネルギー効率の高い歩行を促進。
- 歩行周期に合わせたタイミングで支援を行う高度な制御技術を搭載。
主な適応
- 自立歩行が可能な方で、歩行の左右差や不自然な動きの改善を目指す方。
- 歩行困難を呈する脳卒中後遺症者や神経難病患者で、さらなる研究報告が期待される。
- 運動器疾患の方や高齢により歩く際に転倒が心配な方の歩きのフォームの改善にも有効。
まとめ
オルソボットは、歩行障害を抱える方にとって新たな希望となるロボット装具です。膝関節の制御に特化し、正しい歩行パターンの再学習を支援することで、歩行速度やエネルギー効率の向上が期待されます。
リハビリツールとしてのロボットを活用した報告は今後も増えていきそうです。
スタッフ一同、最新の情報を適宜収集しつつ、情報提供できるよう心がけていきます。
出典
1)大畑光司. 2023. “歩行学習支援ロボット「オルソボットOrthobot®」.” 日本義肢装具学会誌 39 (3): 169–73.
2)Al-Zahrani, K. S., and A. M. O. Bakheit. 2002. “A Study of the Gait Characteristics of Patients with Chronic Osteoarthritis of the Knee.” Disability and Rehabilitation 24 (5): 275–80.
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