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便秘は改善できる!パーキンソン病患者のための実践的アドバイス

パーキンソン病の非運動症状の一つに自律神経症状があります。自律神経症状には便秘、起立性低血圧、睡眠障害、嚥下障害などがありますが、その中でも『便秘』はパーキンソン病患者のうち70〜80%と多くの方に見られる症状です。[1]本記事では、多くの方が悩まされるこの『便秘』についてどのように対策していけばいいのかをご紹介して行きます。

なぜ便秘になるのか

パーキンソン病から起きる腸管神経系の変性や自律神経の障害、活動量の低下、水分や食物繊維摂取の低下、抗パーキンソン病薬の副作用、ストレスや不安などが要因にあります。



便秘になるデメリット

パーキンソン病の治療において、薬物療法はとても重要です。薬は腸管から吸収されるため、便秘になると抗パーキンソン病薬の吸収を阻害し、運動症状を悪化させる恐れがあります。また、重度の便秘は腸閉塞などの重篤な症状を合併する危険性もあります。



便秘の治療

1)食事療法

①食物繊維が多い食材をとる


食物繊維は便の量を増やし、大腸の通過時間を短くすると言われています。また、食物繊維は水分を含むことで便の柔軟性や量を改善すると言われているため、水分も多くとるように心がけましょう。[2]


例)玄米、白米に雑穀を入れる、玄米ぱん、胚芽パン、クルミパン、海藻、果物(特にプルーンが良いとされています)など。


②善玉菌を増やす食材をとる


腸内細菌は善玉菌と悪玉菌に分けられますが、善玉菌は腸管運動を整え、便秘を予防すると言われています。


例)納豆などの発酵食品、ヨーグルトなどの乳製品、大豆製品など



2)運動療法

運動量の低下は慢性的な便秘に関与していると言われています。例えば毎日運動をする人は週1回運動する人より便秘が少ないと言われています。[3]


 


①有酸素運動


ウォーキングや気功、サイクリングやダンスなどの有酸素運動を行うと便秘症状の改善に良いとされています。[4]


例) ウォーキングを週3~5日、1回30~60分行うことが推奨されています。反対に1日500m以上歩かないと便秘のリスクが増加するという調査結果もあります。


②体幹筋トレーニング


お腹に力が入りにくい(直腸圧が上がりにくい)方は体幹筋がうまく使えていない可能性があります。その場合、体幹筋を鍛えることで便秘の改善が期待できます。[5]



  • 下の写真のような姿勢をとります。

  • 腹式呼吸を意識しながら息を吐きお腹に力を入れ引き上げます。

  • そのまま10秒キープを3セット(その時に体力や筋力に合わせて1日の運動量を調整しましょう。)



③腹部マッサージ


腹部のマッサージも便秘の解消に良いとされています。[6]



  • 「の」の字に揉む。

  • 左右の脇腹を上下に揉む。

  • 下腹部を上に押し上けるように圧迫する。

  • 1日15分を週5回実施が理想的です。


 



3)下剤・整腸剤の使用

便秘の管理で最も使用頻度が高いのが下剤です。下剤は便を軟化させたり、便の量を増やしたり、腸の動きを刺激することで働きます。下剤にも色々な種類がありますので、医師に相談を行いましょう。



まとめ

便秘を改善することで薬剤の吸収がよくなり運動症状が改善する場合もあります。


食事や水分量、運動などご自宅で実践できるものも多いので、日々心がけて取り組んでいきましょう。



出典

1)Cersosimo MG, Benarroch EE : Neural control of the gastrointestinal tract : implications for Parkinson disease. Mov Disord 23 : 1065―1075, 2008.


2)Wong ML, Wee S, Pin CH, et al: Sociodemographic and lifestyle factors associated with constipation in an elderly Asian community. Am J Gastroenterol 94:1283- 1291, 1999


3)Dukas L, Willet WC, Giovannucci EL: Association between physical activity, fiber intake, and other lifestyle variables and constipation in a study of woman. Am J Gastroenterol 98:1790-1796, 2003


4)Gao R, Tao Y, Zhou C, et al: Exercise therapy in patients with constipation: a systematic review and meta- analysis of randomized controlled trials. Scand J Gas- troenterol 54:169-177, 2019


5)槌野正裕:排便時腹圧上昇に必要な筋の考察─腹横筋 の収縮が腹圧にもたらす影響─.理学療法学 36:40, 2009


6)Lamas K, Lindholm L, Stenlund H, et al: Effects of ab- dominal massage in management of constipation – a randomized controlled trial. Int J Nurs Stud 46:759- 767, 2009


リハビリ施設AViC
執筆者

リハビリ施設AViC

株式会社豊通オールライフが運営する自費リハビリ施設AViCです。尾山台(東京・世田谷区)・日本橋(東京・中央区)と名古屋栄(愛知県・名古屋市中区)の3店舗を運営をしております。 脳卒中や、パーキンソン病などの神経難病、介護予防、痛みなど幅広いお悩みに対して、リハビリの専門家である理学療法士や作業療法士が専門家の立場から、最新情報をもとに科学的根拠に基づいたリハビリを通しご利用者様の人生を豊かに出来るよう営業を行っています。

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