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『睡眠』―リハビリの効果を上げる?睡眠がもたらす効果②―

『睡眠』―リハビリの効果を上げる?睡眠がもたらす効果①―の記事の方で睡眠がもつ学習効果についてご紹介させていただきました。今回こちらの記事では、その学習効果を高めたり、日々のパフォーマンス能力を高めるために、どのように睡眠の『質』を高めていくことができるかをご紹介させていただきます。

睡眠とは

『睡眠』とは、生理的な休息状態であり、意識が低下し、身体の機能がリセットされる時間です。この状態は脳の活動や身体の調整を助け、成長や修復、記憶の統合に重要な役割を果たします。起きている状態、つまり『覚醒』している時のパフォーマンスはいかに良い『睡眠』を取ることができたかで決まります。



『質の良い睡眠』とは

睡眠の質は睡眠時間にも左右されますが、時間以外にもどのような環境下で睡眠をとっているかでも決まります。睡眠中脳の中では、覚醒時に体がベストな状態になるように自律神経や脳内化学物質、ホルモンの調整を行っています。この調整がよく行えている睡眠が『質の良い睡眠』です。



睡眠の質を上げる睡眠時間〜時間眠るのがベスト?〜

全米睡眠財団の専門家による科学的根拠に基づいた推奨睡眠時間は


成人(18〜64歳):7〜9時間


高齢者(65歳以上):7〜8時間


とされています。[1]


 


アメリカ人100万人を対象とした睡眠時間の調査では、平均睡眠時間が7.5時間で、6年後死亡率が低かったのは平均7時間寝ている人、それより長い人も短い人も6年後の死亡率が1.3倍高かったという結果が出ています。[2]



『睡眠の量』が取れない時どうしたら『睡眠の質』は上がる?

理想の睡眠時間がわかっていてもその時間を毎日確保することが難しい人もたくさんいます。仕事をしている方は特に難しいと感じることが多いかと思います。そのように、睡眠時間(量)を確保できない場合は、「質」にこだわり高めていく必要があります。



睡眠の質を上げるために気をつけるべきこと

①食事はよく噛む


よく噛んで食事をすると三叉神経という脳神経から刺激が伝わり、睡眠や行動パターンに昼夜のメリハリがつきやすいとされています。


 


②朝食、夕食はしっかりとる


朝食は体温を上げ、1日のリズムを整えて活動を始めるためのエネルギー補給の役割があります。


また、空腹時は覚醒を上げる神経伝達物質がたくさん分泌されてしまうため、夕食を抜くと眠りを妨げてしまう可能性が高くなります。起きている間に食べ物の消化を進めるためにも夕食は睡眠時間の1時間目には済ませましょう。


 


③寝る前はスマホを操作しない


「スマホのブルーライトは眠りを妨げる」とよく聞きますが、実は眠りを妨げているのは「スマホ操作をする」方なのです。


スマホ程度の照度であれば睡眠にはあまり影響はないとされています。(眼前でじっと画面を見続けたりくらい部屋で画面を見続けるとブルーライトの影響はもちろん強まります!)


睡眠に影響するのはスマホを操作して脳に刺激が加わってしまうことの方なので、なるべく寝る前は操作を控えましょう。


 


④15分間の入浴


人間は寝ている時体の内部の温度「深部体温」は低い状態にあります。普段起きている時深部体温は皮膚などの表面の体温より高いのですが、寝ている時は内臓など体の中を休めるために低くなります。


この深部体温と皮膚温度の差が縮まることで深い眠りを得ることができます。


具体的な深部体温を下げる方法は、「15分の入浴をすること(足湯のみでも良い)」「寝る前に手足を靴下や湯たんぽで温めること」です。


こうすることで体温が上がり体から熱を出そうとすることで深部体温を下げることができます。


※寝ている時に靴下を履き続けることや湯たんぽを使い続けることは逆に熱をこもらせてしまうため、寝る直前までが良いとされています。


 


⑤湿度にこだわる


湿度が高いと発汗しなくなり手足から体の熱が逃げていかないため眠りが妨害されてしまいます。吸湿性の良い寝巻きや寝具にこだわってみましょう。


また深部体温だけでなく、脳の温度も休息のため睡眠時は低くなります。通気性の良い枕を選ぶことで脳をしっかりと休めることにつながります。


 


⑥日中運動をする


有酸素運動や筋力トレーニングをすることで睡眠中の体温上昇、心拍数の低下(副交感神経が活発になる)、不安の解消、成長ホルモンの増加などを促す事ができ、睡眠の質を上げると言われています。60歳以上を対象とした研究では週3回、中強度(ややきつい程度)の運動を複数の種類(筋力トレーニング、有酸素運動、ヨガ、太極拳など)で組み合わせて行うのが良いと言われています。[3]


運動は寝る直前に行うと交感神経が活発になり、逆に眠りを妨げてしまうため、午後〜夕方に行うのがベストです。


 



睡眠の質が高いことによるメリット

①自律神経が整う


自律神経は呼吸、体温、心臓の働きなどに関わるもの。自律神経が乱れると頭痛、ストレス、疲労感、イライラ、肩こりなどの不調が起きやすくなります。


 


②成長ホルモンがよく分泌される


質の良い睡眠を取る事で成長ホルモンの分泌を促すことができます。成長ホルモンは高齢になっても分泌するもので、細胞の成長や新陳代謝促進、皮膚の柔軟性向上にもつながります。


 


③高い運動能力を維持できる


イギリスで行われた60歳以上の方を対象にした研究で、質問票を用いて睡眠習慣や転倒歴などを調査したところ、睡眠の質が高い人ほど、歩行速度が速く転倒の発生率が低いという結果が出ました。[4]リハビリトレーニングで高めた身体機能を維持するためにも、質の良い睡眠を日々意識することが大切です。


 



まとめ

このように睡眠は身体のパフォーマンスに大きく影響します。


日々のリハビリトレーニングにしっかりと集中したり、成果を出すためにも一度睡眠環境を見直してみるのはいかがでしょうか。



出典

1)Hirshkowitz, Max, et al. “National Sleep Foundation’s Sleep Time Duration Recommendations: Methodology and Results Summary.” Sleep Health, vol. 1, no. 1, March 2015, pp. 40-43.


 


2)Yang, Lili, Bo Xi, Min Zhao, and Costan G. Magnussen. “Association of Sleep Duration with All-Cause and Disease-Specific Mortality in US Adults.” Journal of Epidemiology & Community Health, vol. 75, no. 6, 2021, pp. 457-465.


 


3)Vanderlinden, J., Boen, F., and van Uffelen, J. G. Z. “Effects of Physical Activity Programs on Sleep Outcomes in Older Adults: A Systematic Review.” International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity, vol. 17, article no. 11, 5 Feb. 2020.


 


4)Zhang, Li, et al. “Associations of Sleep Quality with Gait Speed and Falls in Older Adults: The Mediating Effect of Muscle Strength and the Gender Difference.” Gerontology, vol. 68, no. 1, 2022, pp. 1–7.


リハビリ施設AViC
執筆者

リハビリ施設AViC

株式会社豊通オールライフが運営する自費リハビリ施設AViCです。尾山台(東京・世田谷区)・日本橋(東京・中央区)と名古屋栄(愛知県・名古屋市中区)の3店舗を運営をしております。 脳卒中や、パーキンソン病などの神経難病、介護予防、痛みなど幅広いお悩みに対して、リハビリの専門家である理学療法士や作業療法士が専門家の立場から、最新情報をもとに科学的根拠に基づいたリハビリを通しご利用者様の人生を豊かに出来るよう営業を行っています。

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