転倒予防のリハビリで知っておくべき7個の方法
2024.11.20
リハビリの対象となる疾患予防
転倒はなぜ予防しなければいけないのか?
令和4年度の調査によると、転倒は介護が必要となった主な原因で、第2〜3位に入るほど主要な原因となります[1]。また、転倒関連骨折(転倒によって発生する骨折)も重大な問題となります。特に女性で発生率が高く、橈骨/尺骨遠位端骨折79.9%、大腿骨近位部骨折93.4%、足関節骨折80.0%、上腕骨近位部骨折85.4%の発生率と報告されています[2]。骨折以外にも、頭蓋内出血や脊髄損傷などより重篤な外傷が生じることもあります。つまり、転倒を予防する目的は、転倒による身体の外傷を予防し、健康寿命を延伸させることが重要となります。
転倒しやすい人の特徴
転倒には様々の要因が関連しています。専門家による適切な評価が大切となります。以下は転倒への関連が報告されている特徴になります[3]。転倒リスクの評価については、過去の記事(高齢者の転倒リスク評価にはどのようなものがあるのか?)をご参照ください。
主なリスク因子
- パーキンソン病に罹患している
- 抗てんかん薬を服用している
- 過去に転倒歴がある
- 歩行補助具を使用している
- 身体機能低下(筋力、バランス、柔軟性、歩行能力低下など)
- 認知機能低下
- 転倒に対する恐怖心がある
- 痛みがある
- 尿失禁がある
- うつ病に罹患している
- 視力低下がある
- 眩暈がある
- 降圧剤を内服している
- 聴力低下がある
- 低血圧がある
リハビリ方法について知っておくべき7個の方法
転倒予防のリハビリ方法は、単一のものよりも多要因の介入を組み合わせることが推奨されています。
- 運動:歩行、バランス、機能訓練、筋力トレーニング、柔軟運動、多方向への重心移動トレーニング(例:太極拳)、一般的な身体活動、持久力トレーニングなど。
- 薬物療法:ビタミンDおよびカルシウムの補給など骨を強くする薬剤を服用する。内服している薬の量や種類を調整する(注:かならず主治医と相談してください)
- 医学的処置:目が見えにくい、耳が聞こえにくいなどは転倒リスクの増加と関連します。そのため、適切は処置を行うことも有効です(白内障の処置、補聴器の使用など)
- 尿失禁の管理:トレイ介助や排尿コントロールなど。
- 栄養療法:筋力低下や疲れやすいなど体の健康を維持するためには、適切な栄養や水分摂取も有効です。
- 認知行動療法:個人またはグループで実施します。転倒に対する恐怖を減らすために、転倒に対する考え方を正し、適切な行動が取れるように導きます。
- 環境調整:住宅やその他の建物への家具や改築、歩行補助具を適切な物へ変更する、コミュニケーションや信号を伝える補助具(警報システムなど)、個人のケアや保護のために身体に装着する補助具(靴の滑り止め装置など)。
転倒予防のリハビリの効果
個別のリスク要因に基づいて複数の介入を組み合わせる方法です。具体的な介入は、リスク評価後に個々のニーズに応じて調整されます。
- 転倒率の低下
- リスクに応じて複数の介入を組み合わせ、週2〜3回、12ヶ月以上介入することで通常ケアまたは注意のみ(気をつけて生活してくださいなどという声かけ)と比較して転倒率を減少させる可能性があります。効果としては、約30%低下させる可能性が報告されています[4]
- 転倒関連骨折
- リスクに応じて複数の介入を組み合わせ、週2〜3回、12ヶ月以上介入することで通常ケアまたは注意のみ(気をつけて生活してくださいなどという声かけ)と比較して転倒関連骨折のリスクを約30%減少させる可能性がありますが、その効果は不明です[4]。
まとめ
- 転倒は骨折を生じるリスクが高く、その後の要介護状態へ移行する可能性を高めます。そのため、未然に転倒を防ぐ予防的介入が重要になります。
- 転倒しやすい人の特徴は多岐にわたり、専門家による転倒リスク評価が大切です。
- 転倒予防のリハビリ方法は運動をはじめとして、栄養療法や環境調整などリスクに応じて対処することが重要です。
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