腰部脊柱管狭窄症のリハビリで知っておくべき10個の方法
腰部脊柱管狭窄症はなぜリハビリが必要なのか
腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管内で神経が圧迫されることで、腰や脚に痛みやしびれを引き起こす疾患[1]です。特に高齢者に多く見られ、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。この症状に対してリハビリが重要である理由は、まず筋力や柔軟性を向上させることで、神経の圧迫を緩和し、痛みや不快感を軽減できるからです。
また、リハビリを通じて正しい姿勢や歩行パターンを習得することは、症状の進行を抑え、再発リスクを低減する効果があります。さらに、リハビリは患者の精神的な健康にも寄与し、痛みへの対処法を学ぶことで、生活の質を大きく改善します。
専門的なリハビリプログラムを受けることで、脊柱管狭窄症の患者は身体機能を効率的に回復し、より快適な日常生活を取り戻すことが可能です。適切なリハビリを行うことで、症状の緩和と再発予防を実現し、長期的な健康維持が期待されます。
腰部脊柱管狭窄症の特徴について
腰部脊柱管狭窄症の症状は腰の症状と足の症状に区別されます。
・歩行時の殿部痛と下肢痛がある
・前屈(背中を丸める)で症状が楽になり、後屈(背中を反らす)と症状が悪化する
・ショッピングカートや自転車で症状が楽になる
・座ると楽になる
・下肢筋力低下がある
・腰痛がある
・下肢の痺れがある
・症状は両側に出やすい
・膀胱直腸障害
リハビリ方法について知っておくべき10個の方法
それでは、リハビリ方法についてまとめてきます[2]。
- 有酸素運動:少し息が上がる程度の負荷で10〜20分程度の運動を行います。ジョギングやトレッドミル、エルゴメーター等を用います。
- 筋力トレーニング:姿勢保持や歩行に必要な体幹・下肢を中心とした筋力トレーニングを実施します。特に、腹筋群のトレーニングが有効です。
- ストレッチ:体幹や下肢など筋肉が短縮している部位や関節可動域が狭くなっている部位に対して実施します。背筋群や足の付け根の前側が短縮していることが多いです。
- 安定化トレーニング:体幹を安定させた中で動けるようにトレーニングを実施します。
- バランストレーニング:不安定な環境でも姿勢保持ができるように、転びそうな場面でも立ち直れるようにトレーニングを実施します。
- 物理療法:痛みを緩和させる目的で、温めたり、電気をかけたりします。
- マニュピレーション:施術者が手や器具を使って脊椎の関節に一定のスラスト(特定の角度による振幅で圧を加える)を加える手技です。
- 動作指導:症状を悪化させる動作方法を矯正するために、適切な動作方法を指導します。
- 姿勢指導:症状が楽になる姿勢を指導します。
- 認知行動療法(患者教育):病気の正しい知識や対処方法を教育することで、痛みや動くことに対する恐怖を減らし、活動的な生活を送れるようにサポートします。
腰部脊柱管狭窄症のリハビリ効果
腰痛や下肢痛の軽減
腰部脊柱管狭窄症と診断された方を対象に、マニュアルセラピーと、体幹および下肢のストレッチ、筋力トレーニング、エルゴメーター、体重支持トレッドミル、認知行動療法(患者教育)を組み合わせて6週間(12セッション)実施すると、腰痛や下肢痛が軽減すると報告されています[3]。
歩行能力の改善
歩行能力も上記と同じようなプログラムに、非麻薬性鎮痛剤や硬膜外ステロイド注射も適宜併用することを6週間(12セッション)実施することで、短期的(2週間〜3ヶ月以内)な歩行能力の改善が報告されています[3]。
歩行能力は自分のペースで歩き症状が出るまでの距離を測定します。その結果、平均で約300mの改善が報告されました。
一方で、中期的(3ヶ月〜12ヶ月)では改善する確率が低下します。運動習慣を身につけ、自己管理できるようにすることも重要となります。
重症度の改善
重症度はZurich Claudication Questionnaire (ZCQ)という評価を用いて測定します。腰部脊柱管狭窄症患者の症状の重症度と身体機能を評価するために開発された自己報告形式のアンケートです。
上記と同じようなプログラムを6週間(12セッション)実施することで短期的に、腰部脊柱管狭窄症の重症度が改善すると報告されています[3]。また、手術と比較してもリハビリの効果は劣っておらず、手術の前にリハビリの実施を検討してみても良いと思います。
まとめ
・腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管内で神経が圧迫されることで、腰や脚に痛みやしびれを引き起こす疾患です。
・症状は腰の症状と足の症状があり、前屈み姿勢で楽になるのが特徴です。
・リハビリを行うことで、痛みや歩行能力だけでなく重症度の改善も期待できます。
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