脳卒中の再発予防に有酸素運動と筋トレが重要!?
脳卒中再発の主要なリスク因子
なぜ運動が効果的なのかをお話しする前に、その効果のメカニズムに関連するリスク因子についておさらいをさせて頂きます。
過去の記事においてについてまとめていますので、より詳細にご覧になりたい方はご確認ください。
▶脳梗塞の再発予防とは?2回目を防ぐ薬、血圧管理、リハビリについて
過去の記事のおさらい
・高血圧:動脈硬化を進行させ血管を脆くします。さらに、脳の血管に過剰な圧力がかかると、その血管が破裂し、脳出血などの脳血管疾患を再発するリスクがあります。
・高血糖:血中の血糖レベルが正常値を超える状態です。高血糖が持続すると血管の壁に損傷を与えることにより動脈硬化を進行させ、血流を悪化させます。これにより、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが増加します。
・脂質異常:血中の脂質(特にコレステロール)のバランスが崩れる状態です。特に悪玉コレステロールが多いと、血管内にプラークが形成されやすくなります。これらのプラークが血管を塞ぐことで、血流が阻害され心臓病や脳卒中を引き起こす原因になります。
つまり、血管内の状態を悪くしてしまう、高血圧、高血糖、脂質異常は脳卒中再発の代表的なリスクとして取り上げられることが多いです。
運動(リハビリ)の効果
過去の記事においては生活全般での予防策に触れていますが、今回の記事においては運動に特化して解説して参ります。
まず、これらのリスク因子に対する効果的な介入として、運動(リハビリ)が推奨されます。
運動によって得られる効果
・血圧を低下させる
・血糖値を下げるのに働くインスリンの効果を向上させる
・定期的な身体活動は、善玉コレステロールの増加を促し悪玉コレステロールの減少につながる
これにより動脈硬化が改善し、脳卒中の再発リスクを下げることができます。
最後に、実際の運動を行いたいけど、運動にどんな効果があり、どんな方法があるのかを紹介していきたいと思います。
1. 有酸素運動
有酸素運動は、心拍数を上げて心肺機能を強化を目的とする運動です。これにより、エネルギーを消費し全身の血行を改善します。
長時間継続できる運動であり、脳卒中において問題となる血管内の健康を向上させます。
血管の健康や心拍数だけでなく、ストレス解消や精神的な健康にも良い影響を与えると言われています。
具体的な種目: 歩行(ウォーキング)、エアロバイク、水泳など
目安: 中強度(軽く息が上がる程度)の歩行(1日約6000歩)またはそれと同強度の身体活動を1日合計で40分程度行う。
2. 筋力トレーニング
筋肉を強化を目的とする運動です。筋力を向上させることで、日常生活の活動を楽に行えるようにし、転倒や怪我の予防にも役立ちます。また、骨密度の向上や代謝の活性化にも貢献するとも言われています。。
具体的な種目: マシンを使用した重量訓練、体重を利用したいわゆる自重エクササイズ(腹筋運動、スクワットなど)
目安: 各種目を3セット(1セット8~12回)。週に2~3日。
3. 柔軟性とバランスの運動
柔軟性とバランスの運動は、筋肉の柔軟性を高め、バランス能力を改善することを目的とした運動です。
これにより、怪我の予防や関節の可動域の維持も期待できます。
具体的な種目: ストレッチ、バランス運動
目安: 1セッション20~30分。週に2~3日。
特に再発予防に推奨されるのは、有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせです。
これらを継続して行うことで、全体的な身体機能と血管機能の向上が期待できます。
ここで紹介した推奨の強度や頻度を見ると、ハードルが高いと感じる方もいると思いますが、厚生労働省のガイドでは「推奨値未満の少しの運動でも、ほとんど行わない場合と比較すると大きな健康増進効果が期待できる」とされており、個人の生活習慣や能力に合わせて無理のない範囲で運動を行うことが勧められます。
また、運動の種目や強度などのプログラムの作成にあたっては医師やリハビリ専門職に相談することが推奨されおり、より安全に効果的な運動を行うことができます。
脳卒中の再発予防に対する運動(リハビリ)の効果についてまとめました。適切な運動を継続して行うことで、血管機能が改善し、脳卒中再発のリスクを軽減することが可能です。
より効果的な運動は、有酸素運動と筋トレの組み合わせです。
専門家とともにご自身にあった運動プログラムを作成し、生活に取り入れてみてください。
脳梗塞のリハビリTips
AViC Report よく読まれている記事