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効果的な歩行リハビリとは? 脳卒中・パーキンソン病へのトレッドミルトレーニングの効果

歩くことは、リハビリを行っていく中で、目標となることが多く、移動においては日常生活を送る上で不可欠な動作です。本記事では歩行トレーニングの1つであるトレッドミルトレーニングの効果を紹介していきます。

1.トレッドミルとは?

まずは、聞き馴染みのないトレッドミルについて簡単に解説します。


トレッドミルとはいわゆる、歩行マシンやランニングマシンと呼ばれる、ベルトコンベアが足元で回転し、その上を歩くためのマシンです。



ジムなどでランニングマシーンとしても見かけたこともある方も多いかと思います。


当施設などリハビリ施設にあるようなトレッドミルでは、免荷装置が備わっているものもあり、ジムなどにある一般的なものとは違う方法で実施することができる「免荷式トレッドミル」も存在します。


病院でのリハビリでも多く用いられ、脳卒中やパーキンソン病などに対する効果が検証されています。



2.トレッドミルトレーニングの特徴

トレッドミルトレーニングの特徴

トレッドミルを用いた歩行練習をトレッドミルトレーニングと言います。


トレッドミルトレーニングの特徴は以下のものがあげられます。



  • 広い場所を必要としない

  • 安全に実施することができる

  • 免荷により難易度を調整できる

  • 歩く距離や速さを設定できる


トレッドミルトレーニングは歩く環境を整えることで、効果的に対象者の歩行リハビリを実施することができます。[1]



トレッドミルの対象となる人

・脳卒中の後遺症者


片麻痺など足の引っ掛かりなどを感じてしまい、歩くスピードなどが低下してしまうケースがございます。


さらに免荷装置を用いることで、普段歩いているスピードよりも速い速度で歩くことにチャレンジが出来ます。


・脊髄損傷者


脊髄損傷では、足の力が入りにくく歩くことが障害されてしまう方がいらっしゃいます。


免荷装置を利用することで、低下した筋力分を補い、普段できないようなるく練習に取り組むことができます。


・パーキンソン病


パーキンソン病では、すくみ足やバランス障害といった歩くことに困難さを抱える症状を呈することがあります。


そのような方も、トレッドミルのような一定のリズムで回る環境や、音や視覚的な合図を併用しながら歩く練習をすることができます。


・下肢骨折後後遺症


体重をかけることによる痛みや、筋力低下にたいして免荷装置で補うことで痛みや歩くことへの抵抗感を軽減することができます。


また、連続して歩く練習にもなり生活で歩く量を補いやすくなります。


さまざまな疾患に対して目的をもって歩行のリハビリができます。



3.トレッドミルトレーニングの効果

トレッドミルトレーニングはさまざまな疾患に利用することができます。

トレッドミルを利用した歩行リハビリの効果について、当施設で実際に使用することの多い脳卒中とパーキンソン病を中心に説明していきます。



3.1脳卒中者へのトレッドミルトレーニングの効果

・トレッドミルトレーニングは、トレッドミルを使用しない場合と比べ、免荷装置の有無にかかわらず、歩く速さや持久性が改善すると報告されています。[2]


・脳卒中治療ガイドラインでは、亜急性期脳卒中者において部分的に免荷したトレッドミルによる歩行訓練が推奨されています。部分免荷したトレッドミルが通常の歩行訓練よりも有効性が高いとされています。[3]


脳卒中後の後遺症が重度になると、手足が動かしにくくなりバランスが悪くなることで歩くことが困難となることがあります。そのような方でも免荷装置を用いることで、負荷を調整し歩行訓練を行うことが出来ます。


 


臨床場面においても、免荷装置の使用や手すりを支持することによって安全に実施することができます。そのため、セラピストが徒手的に足の振り出しなどを部分的な介助や電気刺激を併用することで、より歩行トレーニングを効率的に行えるようにしています。。


 


トレッドミルでのトレーニングでは歩行が改善すると報告されています。その一方で、平地での通常歩行訓練との差が見られなかったとの報告もあり、今後より詳細な検証が必要とされています。



3.2パーキンソン病へのトレッドミルトレーニングの効果

・日本神経学会のパーキンソン病診療ガイドラインやヨーロッパのパーキンソン病のガイドラインではトレッドミルでの歩行訓練は推奨されています。歩行速度や歩行の持久性への改善が示されています。[4,5]


・平地での歩行訓練と比べ、トレッドミルでの歩行訓練がより効果があったと報告されています。[6]


パーキンソン病では歩行の困難さで悩まれている方が多いです。

パーキンソン病の歩行障害に対して通常の歩行トレーニングでも効果があるとされています。


さらにトレッドミルを用いることより改善が見込まれるとされているので、AViCでの臨床場面においても多くの方に使用しています。免荷装置を用いることで安全に負荷量の調整し、後ろ歩きなど実施することが出来ます。また、レーザーポインターで歩幅の目印をつけることやメトロノームでリズムを取るなどパーキンソン病の歩行のリハビリに効果がある介入方法と併せて実施しています。



まとめ

トレッドミルによる歩行リハビリの効果をお伝えさせていただきました。


トレッドミルをうまく使用することで安全に配慮しつつ行えます。


トレッドミルの設定や環境などの調整を専門家からのアドバイスにより効果的に実施できるので、興味のある方は専門家との相談をおすすめします。



出典

[1]慢性期脳卒中片麻痺患者に対する体重免荷トレッドミル歩行練習の即時効果および経時効果. 理学療法学,2011,38;3:180-187


[2]角田 亘:日常生活動作(ADL)障害.脳卒中ガイドライン 2021


(日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会 編).協和企画,東京,2021;pp 263-264


 [3]Treadmill training and body weight support for walking after stroke.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Aug 17;8(8): https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28815562/

 [4]日本神経学会パーキンソン病診療ガイドライン2018(パーキンソン病診療ガイドライン作成委員会 編).医学書院,2018;pp87-89

 https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdgl/parkinson_2018_19.pdf

 [5] European Physiotherapy Guideline for Parkinson’s Disease. 2014;pp73 https://www.parkinsonnet.nl/app/uploads/sites/3/2019/11/eu_guideline_parkinson_guideline_for_pt_s1.pdf

 [6] The effects of treadmill or overground walking training program on gait in Parkinson’s disease.Gait Posture. 2013 Sep;38(4):590-


リハビリ施設AViC
執筆者

リハビリ施設AViC

株式会社豊通オールライフが運営する自費リハビリ施設AViCです。尾山台(東京・世田谷区)・日本橋(東京・中央区)と名古屋栄(愛知県・名古屋市中区)の3店舗を運営をしております。 脳卒中や、パーキンソン病などの神経難病、介護予防、痛みなど幅広いお悩みに対して、リハビリの専門家である理学療法士や作業療法士が専門家の立場から、最新情報をもとに科学的根拠に基づいたリハビリを通しご利用者様の人生を豊かに出来るよう営業を行っています。

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