脳卒中リハビリにおける”電気刺激療法”とは?
電気刺激療法とは?
電気刺激療法は脳卒中者などの神経障害を持つ患者に対する治療法の1つであり、
脳卒中の後遺症に幅広く用いることのできる治療法です。
筋肉や神経に電気刺激を与えることで、神経の再生や機能改善を促すこと目的としています。
日本脳卒中学会の脳卒中治療ガイドライン2021において歩行障害や上肢機能障害、痙縮といった複数の症状に対して電気刺激療法が推奨されています。
電気刺激療法の種類と効果
電気刺激療法は、脳卒中により損傷した神経や周囲の筋肉に電気刺激を与え、神経を刺激することでで麻痺や動作の改善を促します。運動機能(手足の動きなど)や筋緊張の異常(筋肉が過剰に緊張した状態など)など晩年に至るまで後遺症として残存しやすい症状を改善させる治療効果があるため使用されています。
電気刺激治療法には大きく二つの種類があり、一つは機能的電気刺激です。体に装着するものや埋め込まれたデバイスが電気刺激を与えて神経活動や筋収縮を促進し、麻痺により失われた機能を代償します。この場合、裏を返せば、デバイスがないと麻痺部分は動かせません。神経の損傷の程度により麻痺の改善が難しいと判断された場合はこの治療法が選択されます。
もう一つが治療的電気刺激と言われるもので、継続的なリハビリテーションの中で電気刺激を繰り返し、運動機能(手足の動きなど)や筋緊張の異常(筋肉が過剰に緊張した状態など)の改善・回復を目指すものです。
AViCでのリハビリで多く用いられているものは、機能的電気刺激になります。
その効果を細かく説明していくと、筋や神経に電気刺激治療を行うことで,損傷した感覚神経を介して脳へ刺激が伝わることで、筋肉に指令を出す神経回路のひとつである皮質脊髄路の興奮性が増大することがわかっています。
さらに電気刺激と自分で身体を動かすことを組み合わせることでの効果も報告されています。
電気刺激療法の脳卒中で生じることの多い後遺症への改善の効果を以下に紹介します。
・歩行障害
脳卒中を発症し、足・脚が動くにくくなり、バランスも不安定となり、歩行に悩まれる方が多くいらっしゃいます。
脳卒中後の歩行障害に対して電気刺激を用いることで、歩行速度の改善が報告されています。
・運動機能障害
上肢ではつま先を挙げる、膝を伸ばす、脚を持ち上げる、
下肢では肩を挙げる、肘を曲げる、手先を動かす
上記の動きができることを運動機能といいます。
脳卒中の上肢・下肢の運動機能の向上に有効であることが報告されています。
・痙縮
脳卒中後の方のお困りごとで多い痙縮とは、筋肉の緊張が高くなり、筋肉がこわばってしまうことをといいます。
足の痙縮に対して、電気刺激が有効だとされています。
上記のように脳卒中後の後遺症のお困りごとに対して、電気刺激療法の有効性が報告されています。
電気刺激の種類・使用機器
前述しましたが脳卒中に使用される電気刺激の種類は複数あります。
主な種類について簡単に説明します。
・機能的電気刺激療法(FES:Functional Electrical Stimulation)
脳卒中など失った機能を補い日常生活の動作の向上を目的に用いられます。
・神経筋電気刺激(NMES:Neuromuscular electrical stimulation)
電気が流れる(オン)、電気が止まる(オフ)があるタイプの電気刺激になっています。
・経皮的電気刺激療法(TENS:Transcutaneous electrical nerve stimulation)
電気が持続的に電気が流れている(オン)タイプの電気刺激です。
本邦において、電気刺激療法で用いられる機器を2つ紹介いたします。
・ESPURGE
小型の電気刺激装置で、3つの電気刺激モードを搭載し、場所を選ばず治療が可能です。
い
https://www.medical.itolator.co.jp/product/espurge/
・IVES
治療部位の筋活動電位(筋電)を感知して、それに応じた電気刺激を治療部位に生じさせます。
https://www.og-wellness.jp/product/medical/gd6122-6124
電気刺激は様々な種類があり、適切に設定することで効果が得られるため、
使用する場合には、医師やセラピストなど専門家に相談することが推奨されます。
まとめ
電気刺激療法は神経や筋肉を刺激して、神経の再生や機能改善を目的とする治療方法で、脳卒中の後遺症に幅広く用いられています。
国際的にも有効性が証明されており、運動や訓練と併用することでも効果が期待されますので、
治療法の1つとして是非ご検討いただければと思います。
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