脳卒中リハビリにおける”CI療法”とは?
CI療法とはどんな手法?
まず、脳卒中後の上肢運動麻痺の回復には、より多くの訓練量(特に、特定の動作の反復を含む機能訓練)や、日常生活上における麻痺手の使用量が必要とされています。
『CI療法』はこの『十分な訓練量』『生活の中での麻痺手の使用』に特化した上肢運動麻痺に対する効果的なアプローチの一つと言われています。
日本脳卒中学会が発行している脳卒中治療ガイドライン2021においても、実施することが推奨されているアプローチの一つとなります。(推奨度A エビデンスレベル高)[1]
実際にどんなリハビリを行う?
では実際に『CI療法』をどのような手順で実施していくのかを見ていきましょう。
『CI療法』には以下の3つの手順が含まれます。[2]
①麻痺手の集中的な段階的練習を2週間、1日6時間行う。
②起きている時間の90%の時間、麻痺していない手をミットなどに入れ拘束する。
③麻痺手を、実生活上で使えるように行動療法(トランスファーパッケージ)を行う。
①1日6時間を2週間、段階的に集中して
集中的な段階的練習ですが、この練習では、その方にとって意味のある活動を目標に設定して行います。その活動で実施に使用している物品も使い、その目標動作に似た環境の中で難易度を段階的に設定して実施します。
例)目標「コインを右手の親指と人差し指で財布の中から取り出せるようになる」
〈難易度調整の仕方〉
◇物品を入れる入れ物▶︎大きなトレー⇨ポーチ⇨実際の財布の小銭いれ
◇取り出す物品▶︎四角いブロック⇨円柱状の物品⇨厚いコイン⇨薄く小さいコイン
◇作業を行う場所(入れ物を保持する場所)▶︎机の上⇨膝の上⇨実施の場面を想定し空中
※訓練時間は研究によって1日1時間や3時間で良い結果を出しているものもあります。その方の状態や環境に合わせてセラピストと決めていくのが良いでしょう。
②日中90%の時間、麻痺していない手を拘束
手の抑制は麻痺手の使用を促すために実施します。こちらがCI療法のネーミングの由来となっていると言えるでしょう。しかし、過去の研究において抑制をした人たちとしなかった人たちで、麻痺手の使用頻度に差はなかったという結果が出ているため、麻痺手を使用できていれば必ずしも必要なものではないというのが現在の見解となっています。
③麻痺手の利用を実生活へ汎化(トランスファーパッケージ)
麻痺手を「生活の中で使う」ために用いられる手法です。例えば“毎日自身の麻痺手の使用頻度と使いやすさを自己申告する”、“麻痺手に関わる日記をつける”、“セラピストと麻痺手を使うための契約をする”などの内容が含まれています。
どんな方が対象となるか
◆疾患:脳卒中、脳外傷、脳腫瘍などにより上肢に運動麻痺を呈した方
◆運動麻痺の程度:軽度から中等度の運動麻痺の方
例
「指を開いたり、手首を少し動かしたりはできるけど道具をうまく扱うことができない。。」
「腕や指の動きは少しあるけれど、効率よく作業することを優先してしまって麻痺のある手を全然日常生活で使っていない。。」
「自己流で麻痺のある手を動かす練習をしているけど姿勢が崩れたり、腕が痛くなってくる。。」
まとめ
CI療法は手のリハビリにおいて、効果的なアプローチといえます。
手順や適応については専門家との相談が必要となる手法になりますので、
試してみたい方、もっと詳しく内容を知りたいと思った方はぜひ一度ご相談ください!
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